GALLERIAの特長の1つは、CPUやビデオカードをベースにモデルが作られている事。そのため、低容量電源を搭載した廉価モデルのBTOメニューにはハイエンドビデオカードはなく、電源容量が足りなくなることがないわけだ。
足りなくなるとすれば、あとから自分でCPUやビデオカードを換装した場合となる。これを「電源容量が足りない」と言うのは、「そりゃそうだろう」以外の言葉がない。換装するのであれば、同時に電源も交換するとか、そもそもの購入時にBTOで大容量電源を選ぶ、といったことをするべきだろう。
電源品質の話に少し戻るが、「80Plus Bronzeだから低品質な電源を使っている」という意見があるという。
“80Plus”はどのくらいの電源効率なのかを表す認証規格で、Standard、Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titaniumの6つの段階がある。それぞれ負荷が20%、50%、100%のときの電源効率の数値が定められており(Titaniumのみ、10%時の負荷もある)、この効率が高いほど上のランクとなるものだ。
例えばBronzeなら、20%負荷で82%、50%負荷で85%、100%負荷で82%となっている。これがGoldになると、20%負荷で87%、50%負荷で90%、100%負荷で87%となるので、5%ほど改善されている証拠となる。
ただし、あくまで評価対象となっているのは変換効率だけ。ひどい話、電圧が揺れようが、ノイズが乗ろうが、騒音が大きかろうが、コイル鳴きが起ころうが関係なし。いくら効率が高くても、品質の低い電源であれば動作が不安定になってしまう危険すらある。
もちろん、効率を高くするにはいい部品を使う必要があり、結果的に高品質な製品が多くなっているというのは事実だ。だからといって、ランクの低いもの、80Plus Bronze電源の品質が低いという話にはならない。このあたりを混同して考えてしまわないよう注意したい。
ちなみに、電源効率が高いと何がいいのかといえば、発熱が減ることと、消費電力が下がる事の大きく2点。ただし、これを気にするのは消費電力の大きいハイエンド構成の場合だけでいい。
例えばゲーム中の消費電力が500Wを超える場合であれば、80Plus Bronzeと80Plus Goldの差は5%となるので、25Wもの差が出てしまう。しかし、ミドルやエントリークラスで200W程度しか使われないとすれば、その差は10Wまで小さくなる。また、どちらの場合でも、オフィスソフトやブラウザーの使用、動画サイトの視聴などであれば100Wもいかないため、その差はたった5Wにまで縮まってしまう。
1日8時間、約30日使い続けた場合の電気料金を計算してみると、25Wでは約183.4円(1kWhあたり30.57円で計算)、10Wだと約73.4円、5Wだと約36.7円にしかならない。
BronzeをGoldへと変更すれば確かに電気料金は下がるものの、月額でこのくらいの差しかないのに、5000円~1万円近く価格が高くなる80Plus Goldの電源を選ぶというのは、コスパ的においしくない。
この点GALLERIAはよく考えられており、「GALLERIA RM5C-G50」(Core i5-10400F+GeForce GTX 1650)というエントリークラスのゲーミングパソコンでは電源が「550W 静音電源 (80PLUS BRONZE)」となっているものの、最強クラスの「GALLERIA ZA9C-R38」(Core i9-10850K+GeForce RTX 3080)では「750W 静音電源 (80PLUS GOLD)」を搭載していた。消費電力が大きくなるモデルにはしっかりと80Plus Goldの電源が採用されているあたり、よく考えられた構成だといえるだろう。