INTERVIEW

サードウェーブ綾瀬工場で
GALLERIA(ガレリア)の
電源品質へのこだわりに迫る!

文:宮里圭介 編集:八尋/ASCII

GALLERIAのパソコンの電源の真相について、サードウェーブ綾瀬事業所を訪問してきた

PCショップの「ドスパラ」や「上海問屋」を運営し、ゲーミングPC「GALLERIA(ガレリア)」、クリエイターPC「raytrek(レイトレック)」を含む各種BTOパソコン販売を手掛けるのが、サードウェーブ。
とくにゲーミングPCブランド「GALLERIA」のゲーミングデスクトップは先日新型ケースへと刷新され、従来からのBTOとしてのコストパフォーマンスを維持しつつ、デザイン性と機能性を兼ね備えた魅力的なモデルとなっている。

PCケースを刷新した新GALLERIA

パソコンを買おうと思ったときに誰もがやることといえば、製品情報を集めるだけでなく、「実際のトコロ、どんな使い勝手なのか」を調べることだろう。つまり、ユーザーの声を“ググる”こと。
試しに「ドスパラ」「BTOパソコン」「評判」などと検索してみると、色々な良い感想がある中に、チラホラとネガティブな情報がヒットする時がある。
医者でもない人が病気を調べるときと同じで、こういったネガティブなウワサ話というのは信じてしまいがち。パソコンに詳しくない人が見てしまえば、いくら情報収集に用心深い人でも「もしかしたら……」と不安になってしまうだろう。

電源はケース内下部に配置する構造だ

しかし、その情報源を丁寧に探っていくと、「ウワサの又聞き程度の話だった」というのはよくある。
10万円、20万円という大きな金額の買い物だ。失敗などしたくない。
そこで、このウワサが本当なのかウソなのか、この目で確かめてこようと、サードウェーブ綾瀬事業所を訪問。実際の組み立て工程の見学をしたほか、電源をどう選んでいるのかなど、GALLERIAの品質について気になる部分を直接質問してきた。

製品・マーケティング統括本部 製品事業本部 開発部部長の石黒 哲実氏。サードウェーブで実際に開発を行ない、電源品質などのチェックも行なっている部署の責任者となる

長年のPCパーツ販売、
BTOパソコン製造で培った経験を
活かした新GALLERIA

「15年ほど前から、電源の選択から始まり、動作チェックの徹底など、さらなる品質向上が実現できています。」(石黒氏)
BTOパソコンとは何かを簡単に説明するとすれば、「Build To Order」の頭文字を取った略語で、受注生産という意味だ。市販の完成品パソコンと比べて、CPU、メモリ、プロセッサーやストレージなど、お客さまのご要望に応じて自分でカスタマイズして購入できる。
個人でパーツを購入し、パソコンを組み立てるのと大差ないように思えるが、大きく違うのが、誰が品質を担保するのかという点だ。

深圳市で全件受入検査をしていると語る石黒氏。品質管理への徹底が、こういった検査にも反映されている

もう少し詳しく説明すると、個人で組み立てた場合、パーツの品質を担保しているのはあくまでそのPCパーツメーカーだ。故障時の交換でも、ショップはあくまで窓口になってくれるが、実際はメーカーとやり取りしているわけだ。
これに対し、BTOパソコンの場合は、品質を担保しているのがBTOパソコンメーカーになるのが大きな違い。例えば電源の品質が低くて故障してしまった場合、責任はBTOパソコンメーカーになる。サポートに連絡したら「電源故障なので、電源メーカーに問い合わせてください」などということにはならない。
実際、サードウェーブの品質管理は徹底しており、PCパーツは輸入する前に、中国の深圳市にある受け入れ部門で全ての受け入れ検査を行なっているとのこと。日本での組み立て生産時や、その後購入者に届いたあとで多大な影響を及ぼすような不良などについては、まずこの時点で弾かれる。

先日からGALLERIAで採用されている新型ケース。フロントインターフェースが充実しているほか、フロントパネルのエッジにライトアップ機能も内蔵

「品質面の向上もそうですが最近はとくに設計開発、設計評価部門に力を入れており、より魅力的な製品作りをすることを目指しています」(石黒氏)
先日リニューアルされたGALLERIAの新型ケースも、こういった成果のひとつ。デザイン含めてフルスクラッチでの設計開発および専用のラインで製造しているのが特長だ。

電源メーカーごとに得意とする分野が異なるため、「このメーカーならいい電源」と一概にはいえないという

BTOパソコンで採用している
電源メーカーの基準は?

ワット数についても聞いてみた

個々のパーツの品質について責任を担保するのがBTOパソコンメーカーである以上、そのパーツを選定するのもBTOパソコンメーカーの役割。信頼できるメーカーの、信頼できる製品を選べればいい……と口でいうのは簡単だが、では、何をもって信頼できると判断するのかが難しい。
「電源の選び方は非常に難しい部分です。小容量電源が優れているメーカーもあれば、一般にはマイナーでもサーバー用の大容量電源では定番というメーカー、品質と価格のバランスに優れたメーカーもあります。それぞれ得意分野が違う上、同じメーカーの製品でもモデルによって品質が変わってくるので、単純にメーカー名だけで選ぶことができません」(石黒氏)

さらにこの問題を難しくしているのが、新世代のパーツが登場してきた時だ。電源の市場のうち、大容量のPC電源というのは需要がけっして大きいものではなく、ちょっとした仕様変更程度では新モデルは作られないという。しかし、BTOパソコンメーカーとしては、新しいパーツが出ればいち早く採用したいところ。とくに、CPUやビデオカードといった話題性の高いPCパーツとなれば、サンプルを入手し実際に動作検証の計画を立てながら、これらのパーツを安定して動かせる電源を選定していく必要がある。
こういった新パーツを採用する場合に重要なのが、電源メーカーとの普段からの意見交換だという。
「普段から電源メーカーさんと意見交換をしていると、「この仕様であればこのモデルを改良すればよさそう」といった目星はつけやすくなります。もちろん、電源メーカーさんは他社さんとの付き合いもありますから、色々な情報が入ってくるのもあるでしょう。こうした情報から仕様変更をし、柔軟に対応してくれるのは、やはり長い付き合いがあり、普段から意見交換している電源メーカーさんですね」(石黒氏)

最近の例でいうと、インテルの第10世代Coreプロセッサー・ファミリーで大きく電源の要求仕様が変わっていたため、BTOパソコンに搭載している電源をすべて入れ替えたとのこと。こういった対応がすぐにできるというのも、電源メーカーと近い位置にいて、信頼関係があるからこそだ。その時々の価格だけで電源の仕入れ先を変えていたのでは、こうはいかないだろう。
実際、GALLERIAのBTOパソコンでユーザーが選べる電源メーカーを聞いてみたところ、「CORSAIR」「Enhance」「Owltech」「Silverstone」「Seasonic」といった返答だった。有名メーカーばかりが選べるように見えるが、これはあくまで結果的なもの。

「GALLERIA XA7C-R37」のBTOメニュー例。標準電源以外にも、有名メーカーの電源が並んでいるのが確認できる

普段から意見交換ができ、品質の高い電源を作ってくれるメーカーを探した結果、有名メーカーばかりになっていたというだけだろう。有名メーカーの有名メーカーたる所以、ともいえる。 その中で、BTOパソコンの標準として採用しているのは「AcBel」「DELTA」というメーカーの電源。電源業界においてはOEMとしての実績評価は高く、実は大手PCメーカーで採用されていることも少なくない。
電源でもう1つ気になるのが、ワット数。「電源容量が足りない」といわれることがある点だ。電源容量が足りなければ動作が不安定になるだけに見逃せないので質問してみたのだが、これは明確に「足りなくなることはない」と断言していた。
「新しいBTOパソコンのモデルを作る際、BTOオプションで最大までパーツを追加しても余裕で動作する容量となるようにしています。この計算には細かい計算式を使うのですが、簡略化したものがサイトで公開している「電源容量計算」です。これは誰でも利用できますので、PCを自作する際などに電源容量で困ったときにもご利用いただければと思います」(石黒氏)

電源容量計算を簡易的に行なえる計算機。どのくらいの容量が必要なのか悩んだら、これで計算できる

GALLERIAの特長の1つは、CPUやビデオカードをベースにモデルが作られている事。そのため、低容量電源を搭載した廉価モデルのBTOメニューにはハイエンドビデオカードはなく、電源容量が足りなくなることがないわけだ。
足りなくなるとすれば、あとから自分でCPUやビデオカードを換装した場合となる。これを「電源容量が足りない」と言うのは、「そりゃそうだろう」以外の言葉がない。換装するのであれば、同時に電源も交換するとか、そもそもの購入時にBTOで大容量電源を選ぶ、といったことをするべきだろう。

「GALLERIA RM5R-G50」の例。モデルによってCPUとビデオカードが決まっているため、BTOで変更はできない。ほかのビデオカードを使いたい場合はBTOでのカスタマイズではなく、モデルの変更となる

電源品質の話に少し戻るが、「80Plus Bronzeだから低品質な電源を使っている」という意見があるという。
“80Plus”はどのくらいの電源効率なのかを表す認証規格で、Standard、Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titaniumの6つの段階がある。それぞれ負荷が20%、50%、100%のときの電源効率の数値が定められており(Titaniumのみ、10%時の負荷もある)、この効率が高いほど上のランクとなるものだ。

「80Plus」といっても多くの種類がある。最初に登場した効率80%のStandardは今となっては効率が低い部類となるため、実質、Bronze以上から選ぶことになる

例えばBronzeなら、20%負荷で82%、50%負荷で85%、100%負荷で82%となっている。これがGoldになると、20%負荷で87%、50%負荷で90%、100%負荷で87%となるので、5%ほど改善されている証拠となる。
ただし、あくまで評価対象となっているのは変換効率だけ。ひどい話、電圧が揺れようが、ノイズが乗ろうが、騒音が大きかろうが、コイル鳴きが起ころうが関係なし。いくら効率が高くても、品質の低い電源であれば動作が不安定になってしまう危険すらある。
もちろん、効率を高くするにはいい部品を使う必要があり、結果的に高品質な製品が多くなっているというのは事実だ。だからといって、ランクの低いもの、80Plus Bronze電源の品質が低いという話にはならない。このあたりを混同して考えてしまわないよう注意したい。
ちなみに、電源効率が高いと何がいいのかといえば、発熱が減ることと、消費電力が下がる事の大きく2点。ただし、これを気にするのは消費電力の大きいハイエンド構成の場合だけでいい。

例えばゲーム中の消費電力が500Wを超える場合であれば、80Plus Bronzeと80Plus Goldの差は5%となるので、25Wもの差が出てしまう。しかし、ミドルやエントリークラスで200W程度しか使われないとすれば、その差は10Wまで小さくなる。また、どちらの場合でも、オフィスソフトやブラウザーの使用、動画サイトの視聴などであれば100Wもいかないため、その差はたった5Wにまで縮まってしまう。
1日8時間、約30日使い続けた場合の電気料金を計算してみると、25Wでは約183.4円(1kWhあたり30.57円で計算)、10Wだと約73.4円、5Wだと約36.7円にしかならない。
BronzeをGoldへと変更すれば確かに電気料金は下がるものの、月額でこのくらいの差しかないのに、5000円~1万円近く価格が高くなる80Plus Goldの電源を選ぶというのは、コスパ的においしくない。

この点GALLERIAはよく考えられており、「GALLERIA RM5C-G50」(Core i5-10400F+GeForce GTX 1650)というエントリークラスのゲーミングパソコンでは電源が「550W 静音電源 (80PLUS BRONZE)」となっているものの、最強クラスの「GALLERIA ZA9C-R38」(Core i9-10850K+GeForce RTX 3080)では「750W 静音電源 (80PLUS GOLD)」を搭載していた。消費電力が大きくなるモデルにはしっかりと80Plus Goldの電源が採用されているあたり、よく考えられた構成だといえるだろう。

一番奥にあったのが、かさばるケース。そして手前のほうにはマザーボードや電源といったパーツが積み上げられていた

BTOパソコンで採用している
電源メーカーの基準は?

1時間ほどの負荷テスト、最低4回の電源オンオフも実施

石黒氏へのインタビューを通じて、どうやって品質の確保をしているのか、モデルにふさわしい電源を選んでいるのかという話はだいぶ見えてきた。
今回、電源を含め実際にどのようにPCを組み立てているのかも見学できたので、こちらも紹介しておこう。
工場内のレイアウトは、奥にパーツをストックしておく大きな倉庫があり、そこから入り口に近づくにつれ、開梱、パーツ棚、組み立て作業、OSインストール、負荷テスト、梱包、出荷作業といったように並んでいた。
倉庫の天井は高く、とても広い。いかにも工場といった雰囲気。ここに、深圳市で全件検査したパーツが集められることになる。

電源の入った箱に寄ってみたところ。メーカーやワット数、モデルの違いなど、色々な電源が並んでいた

この倉庫から必要なパーツを箱単位で取り出し、パーツ棚へと補充していく開梱作業が行なわれる。開梱作業を行なうのは、それを専門に行なう人員が配備されていた。

パーツ棚の様子。ここが欠品とならないよう迅速に補充する必要がある。また、ピックアップミスがないよう、手元の端末で確認しながらパーツを集めていた。

注文されたBTOパソコンに必要なパーツを集める作業が行なわれるのが、パーツ棚。専用端末が取り付けられた黒いカートを押しながら、ピックアップ。コンテナへとPCパーツをまとめていく。

集められたPCパーツは、ケースと共に組み立て作業場へと移動される。コンテナの中にはパーツ一式がそろい、組み立てられるのを待つ状態となっていた。

多くのケースがずらりと並んでいる姿は迫力がある。ケースとPCパーツは別の机に集められていた

こちらはBTOパソコンに組み込まれるPCパーツ一式がまとめられたコンテナ。側面に印刷された注文票やサポート用のシールなどもセットされていた

配線にも気を使った組み立てを実施中。みるみる組み上がっていくが、丁寧な作業だ

組み立てでは、ケースの分解から電源取り付け、マザーボード、CPU、ビデオカード、ストレージなどの装着まで、ハードウェアの組み立てがすべて行なわれる。次々とパソコンが組み立てられていた。

手前のUSBメモリーが挿されているのがOSのインストールや初期設定など。奥が負荷テスト実行中の様子だ

組み上がったBTOパソコンは起動確認とOSのインストール、そして自動チェックプログラムによる動作確認、負荷テストなどが行なわれ、梱包。そして出荷となる。
なお、これらの手順の中で、少なくともパソコンは4回ほど電源のオンオフが行なわれる。また、OSのインストールも含めれば1時間半ほど負荷がかかった状態での動作となるため、動作しない、不安定になるといった初期不良は、この段階で見つかるとのことだ。なお、不具合が出たものは工場内のインライン修理部門へと回され、そこで原因となるパーツの交換を実施。再度テストを行なってから出荷となる。

なぜかちょっとテンションが上がってしまった、CPUやCPU用のシール。セットで欲しい。最後にこれを貼って完成となる

ちなみに、パーツのピックアップからテスト完了までの時間を聞いてみたところ、大体2時間半程度とのことだった。
多数のBTOオプションに対応し、膨大な生産数を支えるには、広大な倉庫が必要なのも当然だ。

上にあるのがオシロスコープ、下にあるのが電子負荷。電子負荷では電圧もチェックできる

電源品質はメーカー任せではない!

工場内で行なわれていた2つの電源評価

電源の品質にこだわるには、その品質を調べる手段がなければならない。その一例として紹介されたのが、オシロスコープと電子負荷だ。
ATX電源は電源スイッチを押すと出力を始め、すべての電圧が安定したときに「PWR_OK」ピンが5Vになる。このピンが5Vになるまでの時間はATX電源のデザインガイドで決められており、電源オンからおよそ1000ms以内となっている。
電源が不安定な場合は、このPWR_ONが5Vにならない、もしくは、タイミングが遅くなるといったことが起こるため、そういった電源は品質が低いとわかるわけだ。

計測は評価時はもちろんだが、動作の怪しい電源があった場合の解析にも利用。もちろん、このスペースでは他のパーツの評価も行なわれる

この作業を電子負荷を使って無負荷、中負荷、高負荷の3段階で行ない、どの負荷のときでもしっかりとPWR_OKが5Vになっているかを確認。さらに、各出力が既定の電圧を出力しているか、ノイズがないかなども確認しているとのこと。
また、温度による変化も見るため、テストスペースには恒温恒湿器も用意。同じテストを温度や湿度条件を変えて繰り返し、動作が正常かを確認している。
もし正常な動作をしていなかった場合は、電源メーカーへと報告、相談して対応してもらうことになる。

電源ファンを強制的に停止し、コイル鳴きの音量がどのくらいかを計測。規定値以下になっているかを確認していた

もう1つのテストは、騒音についてだ。こちらは簡易防音室の置かれた評価室で行なわれる。
ベンチマークソフトなどを使ってパソコンへと負荷をかけ、この時に電源の騒音などを計測するそうだ。今回見学時に行なっていたのが、“コイル鳴き”の確認。
これは電源に高負荷がかかったときに起こりやすいもので、コイルが小さく振動し、「チーー……」とか「ジーー……」などと一定の周波数で鳴るものだ。ACアダプターなどで経験したことがある人も多いだろう。

品質の低い電源ではこのコイル鳴き対策が弱い、もしくはまったく考慮されていないものもあるため、こういったテストを行なっているとのこと。電源の騒音といえばファンの騒音ばかりが注目されがちだが、こういった細かい点までしっかりチェックしているというのはありがたい。

GALLERIAは電源品質まで厳しくチェック

安心して使える製品だった!

 BTOパソコンについて、電源に不安を感じるネガティブなコメントはいくつかあるものの、その情報は正しくない。現在採用されている電源は、メーカーと普段から意見交換を行ない、信頼できる品質で作られているものばかりだ。もちろん、品質の確認もしっかりと行なわれているので、動作が不安定になることも、電源容量が足りなくなる心配もない。
パソコンに詳しくない人でも、標準電源で安心して購入できる構成となっているだけに、PCゲームが遊びたいけど、どのパソコンを選べば安心して遊べるか不安という人は、GALLERIAのデスクトップパソコンを選択してほしい。
もちろん、さらなる品質や大容量を求めるのであれば、こだわりの電源を選ぶのも自由だ。こういったカスタマイズができる点が、BTOパソコンの魅力でもある。

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