INTERVIEWユーザーに安心とワクワクを感じてもらうために
改良したGALLERIAの梱包箱もチェック

6段階に及ぶ徹底した検査を実施、
サードウェーブが追及する
安心・品質管理への並々ならぬこだわりとは

文:宮里圭介 編集:八尋/ASCII

製品・マーケティング統括本部 品質プロダクト本部 品質管理部 部長の片野 勇次氏

製品・マーケティング統括本部 品質プロダクト本部 品質管理部 部長の片野 勇次氏

BTOパソコンを多く手掛けるサードウェーブでは、前回紹介した製造時の品質を高める取り組みだけでなく、出荷前の動作検証、そしてユーザーの元に届けるための梱包にも、並々ならぬこだわりをもっている。
そこで今回は、サードウェーブの安心・高品質を追求する取り組みや検証、梱包へのこだわりなどについて、製品・マーケティング統括本部 品質プロダクト本部 品質管理部 部長の片野 勇次氏と、生産物流統括本部 製造技術部 部長の堀内 純氏にうかがった。

生産物流統括本部 製造技術部 部長の堀内 純氏

生産物流統括本部 製造技術部 部長の堀内 純氏

サードウェーブにおける、BTOパソコンの受注から出荷されるまでの大きな流れは、以下のようになっている。

1. Webや店頭からの注文受付
2. ピッキングエリアで必要なパーツを集める
3. ラインでPCを組み立て
4. OSやアプリのインストール、および、動作テスト
5. シール等貼り付け
6. クリーニング
7. 付属品の確認と梱包
8. 出荷

前回は、製造の要となる2.のパーツピッキングと3.の組み立て工程について紹介したが、今回は4.以降、OSのインストールから出荷までの話となる。

1台ずつ丁寧に汚れを拭きとっていく。本体に傷がつかないよう、作業台はスポンジで保護されていた

1台ずつ丁寧に汚れを拭きとっていく。本体に傷がつかないよう、作業台はスポンジで保護されていた

パーツ調達から数えると、最後の抜き取り検査までに6段階ものチェックを実施

品質検査は、1回ですべて終わりということはなく、作業の段階ごとに行なわれている。どういった検査が実施されているのか、具体的な内容を紹介していこう。

①深センからのパーツ出荷時に抜き取り検査
パーツの多くは、中国のパートナー企業で設計・製造が行なわれており、そのパーツを深センで受け取り、日本へと出荷している。出荷前にロットごとの抜き取り検査をサードウェーブの現地オフィススタッフが実施し、仕様どおりになっているか、製品の根本的な不良がないかを細かくチェックしている。

②国内工場で受け取り時に抜き取り検査
製造工場へとパーツが届いたところでも、受け入れ検査を実施。出荷検査よりもさらに細かいテストを実施し、例えばマザーボードであれば動作確認だけでなく、同梱品、BIOSのバージョンといった細かな部分まで確認している。
「パーツとして基本的な動作を確認するのはもちろんですが、仕様に間違いがないか、ケーブル類は合っているか、そういった部分も含めて工場到着時にチェックします」(片野氏)

③組み立て工程でのチェック
ひととおりパソコンとして組み立てが終わったところで、ラインの最後の人がすべての完成品の内観・外観をチェックする。ケーブルの正しい装着、ケースの傷の有無なども細部にわたって、厳しくチェックされる。

④パソコンとして動作するかの電気テスト
組み立てたパソコンが正常に動作するかのテストはここで行なわれる。OSやアプリのインストールもこの段階で実施され、マシンとして完成する工程となる。

⑤クリーニングと同時に最終的な外観検査
梱包する前に、本体の汚れを落とすクリーニングという工程がある。ここでは組み立て時に付着した汚れを落とすだけでなく、外観に問題がないかの最終チェックも行なっている。

⑥品質管理のための抜き取り検査
本来の工程では、クリーニングしたあとは梱包され出荷となるのだが、品質管理の面からここでさらにもう一度抜き取り検査を行なっている。

「最後に行なうのが、組立工程や外観に問題ないか、動作に問題ないか、梱包は手順通り行なわれているかなど、製品として正常かを確認するための検査です。この検査で我々の製造したパソコンが完全に品質を満たしているのか、自信をもって送り出せるものとなっているのかを確認しています」(片野氏)
なお、各チェック部で不良と判断されたものは修理部へと回され、必要な修正を施し、更に確認を実施。再度検査へと回されるといった手順になっている。
検査が何度も行なわれていることに驚いてしまうが、ここまでやってようやくサードウェーブが考える品質を担保できるとのことだった。

組み上がったパソコンはラックにのせられ、電気テストの工程へ。ちなみにラックにのっているマシンは、7台で1組となっている

組み上がったパソコンはラックにのせられ、電気テストの工程へ。ちなみにラックにのっているマシンは、7台で1組となっている

OSやアプリのインストールと電気・負荷試験は同時に実施

製造時の検査でもっとも力を入れているというのが、④の「パソコンとして動作するかの電気テスト」。メモリーが半分しか認識されない、高負荷が続くとフリーズするといったように「正常に動いているかのようにみえて、実は不具合がある」という部分を発見できるのがこの工程となるからだ。

バーコードリーダーを接続し、指示書とラックのバーコードを読み取る。これで、OSやアプリが自動でインストールされる

バーコードリーダーを接続し、指示書とラックのバーコードを読み取る。これで、OSやアプリが自動でインストールされる

その前に、パソコンとして完成させるためのOSとアプリのインストールが必要だ。
この手順を詳しく書くと、まずはテストスペースへとラックにのせたパソコンを移動し、電源やディスプレー、LANなどに接続。パソコンにバーコードリーダーを接続し、指示書のバーコードを読み取ることでインストールするOSやアプリが自動でインストールされるオートメーションだ。

ノートパソコンも基本的に同じ手順となるが、キーの押下テストやパッドの動作テストといったものが追加される。なお、「大至急」と書かれているのは短納期モデルとのこと

ノートパソコンも基本的に同じ手順となるが、キーの押下テストやパッドの動作テストといったものが追加される。なお、「大至急」と書かれているのは短納期モデルとのこと

OSもインストールされ、パソコンとして動作するようになるといよいよシステムの検査だ。
「ハードウェアのテストは、米メーカーと協力して開発したツールを使用しています。CPUやビデオカードの動作テスト、メモリーやストレージのリードライトといったテストを20項目以上、自動で行なえるようにしています。その後でシステム負荷テスト……エージングテストを実行して、これでシステムとして安定動作するのか、といったことを確認します」(片野氏)
ここまではほぼ自動で行なわれるのだが、網羅できないテストもある。例えばUSBポートが正常に使えるか、ヘッドフォン端子からちゃんと音が出るのか、といった部分だ。こういった点も1つずつ手作業で行なっているとのことだ。

作業者やカスタマーサポートと情報交換し、改善を繰り返す

検査を多くすればそれだけ品質は向上していく。「BTOパソコンに限らず、組立作業で不良を0にするというのは難しいですが、できる限り高精度にすることはできます。その方法として取り組んでいるのが、システムや環境、教育、それに厳しい検査で防いでいくことです」(片野氏)
システムで防ぐというのは、前回の組み立て工程でも紹介したのだが、組み立て支援システムなどを活用することだ。具体的な製品写真でネジ止めする位置を指定する、ケーブルを挿す場所や取り回しをみせるといったのが、これにあたる。作業が前後するようならその作業手順を見直す、というのもシステムの役割だ。

また、製造ラインのレイアウトやスペースの活用といったものが環境にあたるだろう。それこそ作業台の適正な高さ、また、高度なスキルを持つ人が担当する、こういったことが環境の整備といえる。
もちろん、作業者個人の技量に頼るばかりでは安定しない。そのため、組み立てポイントをしるためのトレーニングや座学を取り入れ、教育で作業者のスキルアップを図るというのも効果的だ。
そもそもの手順などを見直し、いかに不良の発生が起きにくくするのかという点に取り組むのが、品質管理部の仕事といえるだろう。この改善点を探すため、定期的に工場内をみて回ったり、製造部とコミュニケーションをとり、現場の意見も取り入れるようにしているそうだ。
「単純に不良をみつけるだけではなく、原因を探し、対策を考え、実行。そして効果があるのか調べ、どのくらいの効果なのかを確認する、というところまでしっかりとチェックしています。」(片野氏)
改善の際、パーツの仕様変更・カスタマイズは自社ではできないため、パートナー企業に協力してもらうことになる。自分たちで対応できないからほかの方法で対処するのではなく、手間がかかっても、根本となる原因を解消するという姿勢は品質へのこだわりの現れだといえる。
「これ以外にも、カスタマーサポートからも情報をもらい、ユーザーからの要望を取り入れたりしています。例えばビデオカードを挿しているパソコンでマザーボード側のHDMI端子をシールで封印するというのも、カスタマーサポートから得た情報から行なった対策です」(片野氏)
もともとHDMI端子にはキャップを付けケーブルがささらないようにはしていたものの、ユーザーがもっとわかりやすく簡単に認識できるようにしたいと考えていたという。そこでシールを貼ることで、セッティングの際に、より迷わないようにしているわけだ。
こういった幅広い対策を取り入れることで、製品品質の向上、製造スピードの改善、カスタマーサポートやユーザーの負担を減らしている。

上のピッチの広いほうがAフルート、下の狭いほうがBフルートとなり、2つが貼り合わせられているのがわかる

上のピッチの広いほうがAフルート、下の狭いほうがBフルートとなり、2つが貼り合わせられているのがわかる

しっかりした強度とワクワク感の演出にこだわり

ゲーミングパソコン「GALLERIA」が入っている梱包箱。実は、今年リニューアルされている。
このリニューアルの理由は大きく2つ。1つは、箱の強度を高めたかったこと。そしてもう1つが、高価なゲーミングパソコンを購入した際の開封時に、ワクワク感を得られるような体験をさらにプラスすることはできないか、というものだ。
楽しみにしていたパソコンが自宅に届いたとき、開封時にワクワクするような気持ちは誰しも同じだ。それをもっと高めたい、なによりPCメーカーとしてユーザーに喜んでいただきたいという気持ちが強かったという。
「GALLERIAの梱包箱を変えようという話が出て、実際にプロジェクトが始まったのが、2020年の8月です。そこから様々なタイプのダンボールを検討し、実際に製品を入れての落下テストなども行なって選んでいきました。もちろん、運送業者の集配所で万が一ほかの荷物が当たっても大丈夫な表面強度なども考慮しています。最終的にこれで行きましょうと決めるまで、半年くらいかかりました」(堀内氏)
素材でもっとも重視したのが、突き刺し強度。これは、こすれや衝突から内部を守るためで、最終的に「ABフルート」と呼ばれる2重のダンボールを採用している。
ダンボールの構造は、波型の中芯(フルート)をライナーと呼ばれる厚紙で挟むものになっている。この波型のピッチの細かさで、Aフルート、Bフルート、Eフルートなどの種類がある。
Aフルートは一般的なダンボールで使われており、クッション性が高いというのが特徴だ。これに対してBフルートは強度が高く、重量物の梱包に向いている。これらの両方の特徴を持つのがABフルートとなるため、パソコンの梱包に最適といえるだろう。

大切なパソコンを守る梱包としてはこれだけでも十分だが、さらに付加価値として、最初に開けたときのワクワク感も含めて届けたいという想いがあった。
動画投稿サイトでよくあるのが、新製品の開封動画。いわゆる「開封の儀」と呼ばれるものだ。わざわざ動画を撮影してアップしない人でも、開封している様子を写真に残しているという人は少なくないだろう。
どうすれば印象に残るのかを探るため、PCに限らずスマートフォン、家電、日用品まで、あらゆる開封動画を片っ端から視聴してまわり、ユーザーがどの部分に注目するのか、どんなことがあると喜んでもらえるかをリサーチしたという。
その結果できたのが、この新しい梱包箱となる。

デザインに凝っているものの、主張を控えたシンプルなものとなっていた

デザインに凝っているものの、主張を控えたシンプルなものとなっていた

どんなデザインになっているのか、開封の様子を紹介

言葉で説明するより、実際にみてもらったほうが早いので、写真多めで紹介していこう。

側面にGALLERIAのワンポイント、上面(外フラップ)に“BREAK THE NORMAL”の文字をあしらった、比較的シンプルなデザインを採用。上面の文字の向きで、自然と製品の天地方向がわかるようになっている。

外観はほぼ茶色だったのが、上面を開くとネイビーに。なにか特別な感じがあるという演出だ

外観はほぼ茶色だったのが、上面を開くとネイビーに。なにか特別な感じがあるという演出だ

文字を正確な向きに置き、観音開きで開封すると、内フラップに施されたGALLERIAのロゴマークとネイビーカラー。いきなり本体がみえるのではなく、ワンクッション置くことで期待が高まる。

ダンボールに添えられたメッセージ。最初に目にするメッセージだけに、こだわったそうだ

ダンボールに添えられたメッセージ。最初に目にするメッセージだけに、こだわったそうだ

なお、この内フラップにはメッセージが添えられており、ここでも製品の天地方向が統一されている。ちなみにこのメッセージは、20パターンほど案を作ったという。
そのうえで表現ひとつとっても漢字とひらがなどちらにするか、どのような印象のフォントを使用するか、行間はどのくらい空けるかなど、ディテールを詰めていったそうだ。

中央の箱が書類入れで、この下に付属品のケースがある

中央の箱が書類入れで、この下に付属品のケースがある

ダンボールを完全に開くと、中央に付属品の入った箱が見える。この箱にもこだわりがあり、サイズは本棚に入るように書籍の規格を採用している。

付属品の箱を裏返すと、「この箱は、本棚などで保管するのに適したサイズとなっています。」と書かれている

付属品の箱を裏返すと、「この箱は、本棚などで保管するのに適したサイズとなっています。」と書かれている

なぜ本棚に入るサイズにしたかというと、こういった付属品は中身だけ取り出して引き出しの奥にしまい、箱は捨ててしまうというのがよくあるパターンだ。もしくは、もとの箱の中に入れっぱなしにして、必要になったときに取り出すかだ。
これだと、付属品を使いたいときにすぐに取り出せない、もしくはどこへしまい込んだか記憶が定かではないというのが悩みだった。その点、本棚に入るサイズで作っておけば、箱ごと棚に立てておいておける。収納場所を考えなくていいし、必要になればすぐに取り出すこともできるというわけだ。

黒の不織布でくるまれた本体。ロゴの向きが正しくみえるよう、梱包箱の外観から誘導されている

黒の不織布でくるまれた本体。ロゴの向きが正しくみえるよう、梱包箱の外観から誘導されている

この付属品の箱と周囲のカバーを取り除くと、ようやくパソコン本体との対面となる。従来は透明なビニールで本体をくるんでいたが、不織布のカバーへと変更されている。

周囲を少しカットし、擦れる音や開けにくさを軽減。こうした細かい部分にもこだわっている

周囲を少しカットし、擦れる音や開けにくさを軽減。こうした細かい部分にもこだわっている

梱包箱のみた目だけでなく、実用性にもこだわり

開封の様子でも少し触れたが、みた目のデザインだけでなく、実用性の面でもよく考えられたものとなっている。
その1つが、内フラップの形状だ。通常なら四角くカットしてあるだけなので、そのまま開くと外フラップにぶつかり、擦れる嫌な音がしてしまう。

これを回避し、開け閉めしやすくするため、内フラップの外周をカット。また、角を丸くすることで、角のよれを防ぐとともに、もの作りの丁寧さも伝わってくる。
もう1つ実用性の高いポイントとなるのが、本体を支える緩衝材だ。以前はかぶせるようなものを採用していたため、パソコンを取り出すのに隙間に手を突っ込み、引っ張り出す必要があった。新しい緩衝材は左右で分割されているため、先に緩衝材を取り除いてから、パソコンを出せるというのがメリットだ。
実はこれ、パソコンを取り出すときよりしまうときのほうがメリットが大きい。本体に緩衝材をセットして、丸ごとダンボールにしまうというのはなかなか難しいが、新しい緩衝材なら、梱包箱の底に緩衝材をセットしてからパソコンをのせ、さらにその上に緩衝材をはめる、という手順で梱包できるからだ。
サードウェーブはeスポーツ大会へのパソコン貸し出しも行なっているが、返却時の梱包がしやすくなったと好評だということだった。
もちろん、一般ユーザーでもメリットはある。故障時のパソコンの返送、引越しでの梱包などで、苦労することなくしまえるからだ。

少しみづらいが、左側面の奥、上面との境にみえるのがガイドとなる線だ

少しみづらいが、左側面の奥、上面との境にみえるのがガイドとなる線だ

「ダンボール外観のデザインを守る工夫もしてあります。避けたかったのは、GALLERIAのロゴの上に配送業者の送り状が貼られてしまう、というような事態です。いくらデザインにこだわっても、その上に送り状が貼られてしまえば、デザインが台無しになってしまいます」(堀内氏)
そこで、出荷時に配送業者がどこに送り状を貼るのかをリサーチし、明確に貼ってほしい場所をデザインで示すことに。具体的になにをしているかといえば、ガイド線を加えたことだ。

ガイドの位置は、上面と側面の2か所。これは、配送業者によって送り状を貼る位置が異なるためで、両面にガイドを作ることで、意図せぬ場所に送り状が貼られないようにしている。
ちなみに、この新しいダンボールの荷物重量想定は25kgまでとのこと。ハイスペック構成のモデルをいくつかチェックしてみたが、本体重量が約14kgとなっていることからも、十分な強度があることは明らかだ。
なお、このダンボールは4段まで積むことを想定しているそうなので、店頭モデルとして積み上げられるという実用性の面でも強い。

改善を繰り返す徹底した品質管理と、色々なアイディアの詰まった梱包に驚き

製造でのこだわりや取り組みにも驚いたが、品質管理面からの取り組みもまた、徹底されていることに感心してしまった。しかも、単純に改善を行なって終わり……ではなく、その効果までしっかりと検証し、確認を行なうというのは、口でいうのは簡単でも、なかなか徹底できないものだ。
こういった細かいチェックの繰り返し、積み重ねで、より品質の高い製品が作られていくのだろう。
また、梱包箱1つとっても、しっかりとした考えの元でデザインされており、魅せるためのアイディア、そして実用性までふんだんに盛り込まれていることに驚いた。
どちらの取り組みも、コスト削減ばかりを考えていては出てこないもの。こういったこだわりを持って製造しているだけに、品質を高めていけるのだろうと感じた。

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